人生最高の絶頂期。一度は落ちた正社員合格と、YouTubeの収益化という2つの切符を同時に手に入れた私を待っていたのは、あまりにも残酷な現実でした。
結論からお伝えすると、私はYouTubeの収益化ポリシーに引っかかり、せっかく積み上げた収益を「一度も口座に入金されることなく」、すべて失いました。
当時の私にとって、YouTubeは単なる副業ではありませんでした。日々の生きがいも、自分のすべてのエネルギーを注ぎ込むほどの存在になっていたのです。だからこそ、その場所を突然奪われたショックは、計り知れないものでした。
「1週間に1本」が限界だった、泥臭すぎる制作の裏側
YouTubeは、私の動画を「量産型コンテンツ」と判断しました。 しかし、私自身は、決してコピーや使い回しといった安易な発想で動画を作っていたわけではありません。
決して器用な人間ではないし、プロの動画クリエイターでもありません。だからこそ、1本の動画(7分〜10分程度)を完成させるまでに、多くの時間を費やしていました。
仕事が終わってからのクタクタな状態で、毎日3時間パソコンに向かう。 台本を作り込むために何日も本を読む。 そうして1個1個、魂を込めて作った動画は、どれも自分にとっては「最高に面白い渾身の一作」ばかりでした。平日は時間が足りず、結局1本の動画を世に出すまでに、どうしても丸1週間はかかっていたのです。
特に大変だったのが「画像」でした。 世間では「AIならボタン一つで画像ができる」と思われているかもしれません。でも、現実は全く違います。自分がイメージする世界観、細かい歴史的な描写を綺麗に出すのは本当に難しく、プロンプト(指示文)を何十回と書き直すのは当たり前でした。
しかも、当時の画像生成は、納得のいく1枚を出力するだけでも時間がかかっていました。1本の動画に必要な画像を揃えるために、どれほどの時間をやり直しに費やしたか分かりません。
それほど手を込み、時間をかけ、夢中になって作った作品だったのです。
人間とAIの審査が下した回答
「私の動画は、そんな簡単に作られたものじゃない。誰にでも真似できるような動画じゃない!」
どうしても納得がいかなかった私は、あきらめきれずにYouTube側へ異議申し立て(お問い合わせ)をしました。自分の制作プロセスの正当性を必死に訴えたのです。
しかし、返ってきた答えは 人間の目とAIによる再審査の結果、提示されたのは「収益化は認められない」という回答でした。
確かに、台本と画像を出力したのはAIというテクノロジーです。
どんなに裏側で人間が何時間も頭を悩ませ、プロンプトを書き直すという「泥臭い手作業」を繰り返していても、仕上がった完成品がシステム(AI審査と人間による)のフィルターを通れば、「AIが自動生成した、付加価値の低い大量生産品」に分類されてしまう――。
ネットで調べてみると、私と同じように、手を込んで作っていても収益化を剥がされ、絶望している発信者が世の中には溢れていました。
「ああ、もうこの路線で頑張り続けるのは無理なんだ……」
心がポキリと折れた音がしました。あれほど私を突き動かしていた情熱の炎が、すうっと消えていくのを感じながら、私は一度、動画を作る手をピタリと止めることにしたのです。
(第7話へ続く)
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