第14章:説明書は捨てた!自力でドラレコ映像を確認してみると…
保険会社への電話を終えた後、「どうしても先ほどのドラレコ映像を自分の目で確認したい」と思い立ちました。
しかし、私はこれまで一度もドラレコを操作したことがありません。おまけに断捨離の際に説明書も捨ててしまっており、ネットで検索しても自分の機種の使い方が見つかりませんでした。自分に事故動画を血眼で探す日が来るとは、、、。
それでも、「まあ、昔からパソコンなどの操作には強い方だし、適当にボタンを押していけばなんとかなるだろう」と腹をくくり、自力で機器を操作し始めました。
いろいろなボタンを押していくと、画面に動画の「サムネイル(小さな見出し画像)」がずらりと表示されました。そこにはショート動画のような短いファイルがいくつも記録されており……ついに、ぶつかった瞬間の動画を見つけ出したのです!
第15章:ドラレコが証明した「完全停止」と、恐ろしい記憶の曖昧さ
見つけ出した動画を再生すると、そこには「完全に一時停止している」私の車の様子がはっきりと映っていました。
私が急ブレーキを踏んだわけでも、加速したわけでもなく、完全に停止して数秒後に「ドーン!」と追突されたことが映像によって完璧に証明されたのです。自分のことなのに記憶が曖昧で、100%の確信が持てずにいましたが、この映像を見た瞬間、ようやく「やっぱり私は悪くなかったんだ!」と確信を持つことができました。本当に、カメラという存在は素晴らしいと心から感謝しました。
ただ、この映像を冷静に見て、2つほど驚いたことがありました。
ひとつは、私が体で受けた「ものすごい衝撃」に比べて、映像に残っている揺れや衝撃は意外と小さく見えたこと。「映像だとこんなものなんだな」と少し拍子抜けしました。
そしてもうひとつは、自分の記憶と実際の映像が違っていたことです。 私はずっと「横断歩道を渡るおばあさんを待っていた」と記憶していました。しかし映像には、私とおばあさんの間に「左折待ちをしている別の車」が1台映っていたのです。私はその車の存在を完全に忘れてしまっていました。
人間の記憶というのはある程度合っていても、細部はここまで曖昧になって抜け落ちてしまうものなのかと恐ろしくなりました。客観的な事実を残してくれるドラレコは絶対に必要です。できれば後ろもあれば、なぜこんな事故が起きたのかもっと鮮明にわかったかもしれません。
第16章:食欲なし、眠れない…そして迎えた朝
「私が悪いわけじゃない。ドラレコの映像にもちゃんと残っている」 そう確信できたものの、事故の恐怖や興奮、今後の手続きへの不安などがごちゃ混ぜになり、その日の夜は全く食欲が湧きませんでした。ご飯もあまり喉を通らず、布団に入っても目が冴えてしまってほとんど眠れません。
心身ともに休まらない長い夜。 しかし朝はやってきます。そう、私はその日も「出勤」しなければならなかったのです。
第17章:出勤。そして鳴らない電話
ほとんど眠れないまま、私は会社に出勤しました。
チューリッヒの担当者には「お昼の12時から1時の間に電話をください」と伝えていたため、仕事中もどこか落ち着かず、そわそわしていました。
そしてお昼休みの12時。電話を待ちますが、鳴りません。12時半になっても鳴らず、とうとう約束の1時を過ぎてしまいました。「保険会社ってこんなにいい加減なの!?」と愕然としながらスマホの画面を確認すると……なんと、そこには「5回の着信履歴」が残っていたのです!
実は、スマホを「仕事モード」やマナーモードに設定したままで、着信音だけでなくバイブレーションまで切ってしまっていたようです。画面の通知も全く気づかない状態でした。完全に私のミスです。時間を過ぎてから、慌ててこちらから折り返しの電話をかけました。
【対策ポイント⑦】連絡待ちの時はスマホの設定に要注意! 事故後は保険会社や警察など、見知らぬ番号から重要な電話がかかってきます。「仕事モード」「おやすみモード」や、着信音・バイブの設定がオフになっていないか、必ず確認しておきましょう。
第18章:ドラレコ以前の問題!追突は無条件で「100対0」
折り返しの電話で、ようやく専任の担当者さんと話すことができました。
私がドラレコの映像を確認して「完全に停止していた」ことを伝えると、担当者さんから非常に重要なことを教えられました。 それは、「ドラレコの映像がどうこう以前に、後ろから追突された時点で、過失割合は『100対0(相手が100%悪い)』になる」ということです。
映像で確信を持てたことは精神的な安心に繋がりましたが、法律・保険のルール上でも「私は一切悪くない」ということが確定し、心底ホッとしました。あとは、相手(加害者)が加入している保険会社からの連絡を待つだけです。
第19章:最大の恐怖!「100対0」の落とし穴と担当者のアドバイス
しかし、担当者さんとの会話の中で、背筋が凍るような事実を知らされます。
私が「完全に停止していたので、私には一切責任がないですよね」と確認すると、担当者さんは「はい、後ろからの追突は100対0でお客様に過失はありません。ただ……」と言葉を濁しました。
「今回のような100対0の事故の場合、こちらの保険会社は間に入ることができないのです」
えっ!?と耳を疑いました。 自分が全く悪くない「100対0」の事故の場合、私の保険会社は直接相手とやり取りすることができません。そのため、私の立場を考えると、とにかく「相手の保険会社を引っ張り出さなくてはならない」と告げられたのです。
時計はすでに午後2時を回っていました。 「通常、相手がきちんと保険会社に事故の連絡をしていれば、午前中くらいには相手の保険会社からお客様に連絡が来るはずなのですが……少し遅いですね」と担当者さんは言います。
相手は、休日のような少しだらしない服装をした、20代後半から30代くらいの青年でした。「お若い方のようですし、もしかすると事故対応の常識的な認識がまだ薄いのかもしれません」と、担当者さんも心配してくれました。
そこで、一つの具体的なアドバイスをもらいました。 「もし午後3時頃になっても相手の保険会社から連絡がない場合は、昨日交換した電話番号にかけてみてもいいかもしれません」
ただ、ここで気をつけなければならないことがあります。当事者同士での直接のやり取りはトラブルの元です。 連絡をする目的はあくまで、「保険会社には連絡してくれましたか?」「いつ頃、保険会社から連絡が来ますか?」と相手に聞き、保険会社を間に出すように誘導することだけにしてください、と強く念を押されました。
第20章:祈るような時間。もしも相手が動いてくれなかったら…?
担当者さんは、相手の保険会社がすぐに出てこない場合の「最悪のケース」も教えてくれました。
警察には任意保険に入っていると言っていても、実は入っていなかったというケース。保険料が上がるのを嫌がって「保険を使いたくない」とごねるケース。こちらが現金を提示したら「高い」と文句を言ってきたりするケース……。
もしそんな事態になったら、私の保険会社は何もできず、私自身が直接彼とやり取りしなければなりません。想像しただけで恐ろしくなりました。
「どうか、あの青年がちゃんと任意保険に入っていて、保険会社から早く連絡が来ますように……」
時計の針が午後3時に近づくにつれ、私はただただ祈るような気持ちでスマホを見つめていました。
第21章:地獄からの生還!相手の保険会社からの着信
「どうか相手の保険会社から電話が来ますように……」 そう祈りながらスマホを確認すると、なんと、自分の保険会社と電話をしている間に、相手の保険会社(損保会社)から着信が入っていたのです!
その着信履歴を見た瞬間、心の底からホッとしました。「ああ、よかった!あの青年、見た目では少し不安だったけれど、ちゃんと任意保険に入ってくれていたんだ!」と、肩の荷がスッと下りるのを感じました。
すぐに私から折り返しの電話をかけると、相手の保険会社の担当者が出ました。 「通話料がかかってしまいますので、こちらからおかけ直しいたします」と、すぐにかけ直してくださるなど、とても丁寧な対応でした。
第22章:費用は「0円」!これからのやり取りはどうなる?
相手の保険会社の方と直接お話しすることができ、私が一番気になっていたことを単刀直入に聞きました。
「これから病院に行くかもしれないし、車も修理に出します。私は100%悪くない事故ですが、費用は1円も出さなくていいんですよね?」
すると担当者さんは、「はい、お客様はお金を出さなくて結構です」とはっきり言ってくださいました。
さらにお盆明けの対応として、次のような説明を受けました。
- 私が通う病院と、車を修理に出す車屋さんを決める。
- それを相手の保険会社に伝えるだけでよい。
- あとは保険会社が直接、病院や車屋さんと費用などの交渉(やり取り)をしてくれる。
つまり、私が直接お金を立て替えたり、面倒な交渉をしたりする必要は一切ないということです。「あとは通院のことだけでやり取りをしてもらう形になります」と聞き、本当に心から安心しました。
第23章:恐怖!「謝罪に行きたいので住所を教えてください」
費用や手続きの不安は解消されたのですが、スマホの着信履歴を見ると、昼間に加害者の青年本人から2回ほど着信が入っていました。
さらにその後、相手の保険会社から再び電話があり、こう言われたのです。 「加害者の方が直接謝罪に伺いたいと申しておりますので、ご住所を教えていただけないでしょうか?」
これを聞いた瞬間、私はゾッとしました。 相手がどんな人か深く知らないのに、家を知られるなんて怖い。最悪の場合、ストーカーのようになったらどうしよう……と警戒してしまったのです。
「一度、家族に相談します」と答え、その場では住所を教えませんでした。 後で夫に相談すると、「別にわざわざ家まで来させなくていいんじゃない?」とのこと。さらに夫は、「相手は大きな揉め事にしたくない(穏便に済ませたい)から、直接謝罪したがってるんじゃないか」と言いました。
確かに、青年の純粋な善意や反省もあるかもしれませんが、「穏便に済ませて話を小さくしたい」という本心もあるのかもしれません。私自身、わざわざ話を大きくする気はありませんでしたが、「払うべきものは保険会社を通してしっかり払ってほしい」と思っていたので、やはり直接のやり取りは避け、保険会社を通すのがベストだと判断しました。
【対策ポイント⑧】無理に住所を教えたり、直接会ったりする必要はない
加害者から「直接謝罪したい」と申し出があるケースは多いですが、被害者が恐怖や負担を感じるなら断っても全く問題ありません。保険会社に「直接の謝罪は結構ですので、すべてそちら(保険会社)を通してください」と伝えれば、相手に住所を教えずに対応を進めることができます。
第24章:電話越しの平謝り。誠意は受け取り、対応は冷静に
その日の仕事が終わった後、再び加害者の青年本人から電話がかかってきました。
電話に出ると、彼は「本当に申し訳ございませんでした」と平謝りでした。そしてやはり「できましたら、改めて直接お伺いして謝罪したいのですが……」と言ってきました。
私は心の中で「わざわざ家に来られるのはちょっと……」と思いつつも、電話口で必死に謝ってくれるその姿勢自体は、「謝りもしない人よりはずっといいな」と感じました。
彼の誠意や反省の気持ちは電話でしっかりと受け取りつつ、今後の賠償や修理のやり取りについては、冷静に保険会社にお任せしようと心に決め、電話を切りました。
続く
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